活動方針および活動予定

Ⅰ 静岡大学教職員組合の重点課題

1.大学を取り巻く情勢

 法人化以降、第3期中期計画期間を控える国立大学を巡る環境は厳しさを増している。大学のミッション明確化とその達成度などに基づく評価による競争的経費配分の強まりのなかで、各大学は、それぞれの目標達成に向けての大学改革に追い立てられる中で、急ごしらえの教育研究プロジェクトの立案と実行や、屋上屋を重ねるような教育組織再編で、逆に疲弊の度合いを高めている。それは、教員の研究時間を減少させ、法人化以降の日本の大学の教育研究力の国際的評価の低下という形で顕在化している。
 とりわけ昨年度は、文科省による人文社会科学系や教員養成系の学部の廃止や転換を視野に入れた再編推進の通達(6月)が大きな衝撃を与えた。これに対して、日本学術会議が「人文社会系の軽視は、大学教育を底の浅いものにしかねない」という声明(7月)を出したが、主要マスコミはもとより経済団体も含めて人文社会科学系学問の重要性を強調し、文科省の方針への批判が社会的にも大きく高まった。表向きには「誤解」ということで釈明が行われたが、第3期中期計画の具体的な作成の過程では、文系から理系への人的資源の移動を前提にした改革が進行した。一方で、財務省は、大学予算における運営費交付金と自主財源の比率を同率にする財政計画を文科省に迫っている。学生定員が制限されているもとで自主財源をこの水準に引き上げようとすれば学費を100万円程度に引き上げざるを得ず、これも大きな批判を浴びた。
 今後、第3期中期計画中の運営費交付金削減による大学運営の基盤的経費脆弱化のもとで、自主財源の拡大と評価に基づく傾斜的配分の確保への外的・内的圧力はますます高まらざるを得ない。「付加価値を生み出さない」研究領域への評価は厳しくなり、人文・社会科学系の教育研究はもとより、理系においても基礎的な研究領域の教育研究への逆風は強まるものと考えられる。
 このようななかで、「国から財政的支援を受けている」のだからと、国立大学への思想的政策的な統制と介入が強まりつつある。昨年は、国立大学における「国旗掲揚・国歌斉唱」の実施状況の調査結果が公表され、岐阜大学の事例にみるように「国から予算をもらっているのに国歌斉唱を行わないのは恥ずかしい」という文科省大臣の発言さえ行われた。また「軍事目的の研究を行わない」という戦後の大学の平和原則を形骸化させる動きも強まっている。防衛省が募集する研究課題への応募が国立大学でも広がっているが、日本学術会議自身も「安全保障のための研究」という名目で「軍事目的の研究」への道を開きかねない検討を開始した。国が求める大学のミッションにとどまらず、真の意味での大学のミッションとは何かを改めて問い直す必要性が高まっていると言える。

2.静岡大学における情勢

 静岡大学が直面する課題を象徴的に示したのが、昨年の「突然」の人事計画凍結による大混乱であった。予定されていた新規採用はもとより昇進人事もストップという事態は、学長・役員会に権限が集中する組織再編が行われる一方で、財政管理も含めた学長・役員会のガバナンス能力が追い付いていないという問題点を露呈するものであった。
 財政的裏付けのないポイント配分での人事計画の欠陥は、新ポイント制への移行で対応が進んでいるが、そのもとで各部局での教員の人的削減がドラスティックに進められようとしている。本年度は退職教員の半数が不補充とされ、さらに将来的には配分されたポイントもまた削減されていく計画である。
 教員スタッフの削減がこのまま進めば、各学部での教育カリキュラムの維持や研究体制の維持が困難になっていく。この間の職員の削減で事務系の労働環境の劣悪さは限界点に達しているが、教員の労働環境も劣悪さを増していくことになる。さらには、給与も含めた労働条件の切り下げの危機も高まっていくものと思われる。
 静岡大学では、昨年度、「領域」「大学院」「学部」と教育と研究の組織的分離が行われ、屋上屋を重ねるような重層的構造に教員組織が改変された。また地域学環プログラムやアジアンブリッジカリキュラムなどの教育組織再編で業務内容が複雑化し、教職員の負担を過重なものにしている。
 本年度は、学長選考の年であり、来年度以降の第3期中期計画を担う新役員体制を確立する年でもある。静岡大学を、正確で民主的なリーダーシップで運営する学長選出の重要性が極めて重要でもある。

3.静岡大学教職員組合の現状と課題

 非公務員型の法人化以降、静岡大学教職員は労働基準法が適用される民間労働者と同じ立場になった。一方で、人事院勧告も含めて国家公務員の労働条件に準拠するという運営が行われてきた。このことは、一方で「親方日の丸」的意識を温存することで、独立行政法人の枠組みの下で国家公務員以下の労働条件の切下げを余儀なくされるという状況を「甘受」するという事態を生み出している。
 法人化以降、組合員は約400名から250名へと大きく減少し、組合の財政収入もほぼ半減するに至っている。このため、各種予算の節減に努めるだけでは対応できず、全大教への納付金の大幅削減や県国公からの一時的脱会を余儀なくされている。この減少傾向を放置するならば、現在の組合運営を支える書記局体制の維持さえ困難になることが予想される事態となっている。
 組合組織の弱体化は、もちろん法人化以降の多忙化による組合活動に割く家計的・時間的余裕の減少や、そのような中での「ただ乗り意識」(入らなくても困らないし、組合の成果は享受できる)が一定の役割を果たしていると思われる。しかし、最大の原因で、組合が主体的に解決できる問題は、組合自身が教職員にとって必要不可欠な存在として役割を発揮できているかという点である。昨年の職場実態アンケートでも、「期待する役割をはたしていないので加入する必要性は感じない」という趣旨の声が寄せられた。
 組合活動の大きな問題は、執行委員会メンバーが本職との兼ね合いで、1年交代で全員入れ替わるという慣行(伝統)が維持されている点にもある。かつて組合員が多く、支部役員-執行委員-三役と段階を経て経験を重ね「卒業」するというシステムが機能していたが、現在は、いきなり執行委員、いきなり3役というケースが増大している。法人化以降、複雑化する大学の労働問題について、一年ごとに「素人集団」で対応という伝統は、その年度の三役を中心とする執行委員の献身的な努力で支えられてきたとも言えるが、最大の支えは書記局体制の存在である。経験豊富な書記局員の存在で組合活動が支えられてきたとはいえ、複雑な諸問題に取り組むためには執行委員会自身の力量アップが求められることは言うまでもない。
 このような組合が直面する問題を乗り越えるには、何としても組合員数の減少にストップを掛けて増加傾向に転換する必要がある。昨年度は、過半数組合を目指して年間の拡大計画を策定したが、本年度も年間の拡大計画を策定して、「組合員拡大キャンペーン期間」や「組合加入お試し制度」などを活用して、年間を通じた組合員拡大に取り組む。
 また組合活動を担う人材の育成を意識した取り組みを行うとともに、執行委員会での経験の継承を保証するような仕組みの導入を行い、執行委員会の力量形成に努めるものとする。

4.本年度の組合の「6つ+アルファ」の基本方針

 昨年度に引き続き、下記の基本方針を堅持し追求していくものとする。

1.組合員の新規加入に努力する。

「存在感のある組合」づくりを通じて退会者の減少に努めるとともに、かつての組合員の復帰の働きかけを行う。またあらゆる機会を活かして新規加入を進めていく。

2.組合員と意見交換する場を積極的に設け、組合員の要望に応えるように尽力する。

各種アンケートの実施やあらゆる職場・職種でのランチミーティングの開催を通じて汲み上げた要求等を、団体交渉や事務折衝に反映させ、不二速報等を通じてフィードバックしていくことで、「頼りになる見える組合」を推進していく。

3.非常勤職員の待遇改善を要求する。

約6割に迫る非常勤職員の給与改善、一時金の支給、雇用期間の延長などの待遇改善を通じて、その意欲を引き出し能力が発揮できる職場を実転していく。

4.静岡・浜松キャンパス間での待遇格差是正

東西間の適正な人員配置によって、東西間・職場間での労働負担の格差是正に努める。そのためにも地域調整手当支給率の均等化など東西どちらで勤務しても不均等な負担が生じないように交渉していく。

5.学部改組等に伴う教職員の過重労働を阻止する。

裁量労働制や振替休日の適正な運用を通じて時間外手当の正当な支給を通じて土日も含めた長時間労働に歯止めを掛ける。また「36協定」の実効性を高める対策を具体的に進めさせる。

6.学長への権限集中化に伴うチェック機能を果たす。

学内での民主的なボトムアップ型決定を促進するために、学内諸問題に対して積極的にオピニオンリーダーとして情報発信を行っていく。とりわけ財政難を理由にした教職員の削減計画に対して、その問題点を提起していく。

 また上記のほか、静岡大学のより良き職場環境の改善にかかわる課題、教員の教育・研究条件の改善、そして学問の平和的発展に貢献する様々な課題や、学生の学ぶ権利の擁護の課題などに柔軟に取り組んで行く。

Ⅱ 今年度の重要課題と基本方針の具体化に向けて

1.過半数代表組合を目指して、組合員増加を継続する。

 昨年は、10年で過半数を達成しようと年間計画では10%増加の目標を提案した。この目標に向かって既述したように年間を通して様々な努力を継続してきた。退会の減少もあって組合員微増で大会を迎えることができたが、目標は達成できなかった。しかし、目標が達成できなかったとは言え、目標を明確にして、その実現のために知恵を絞り努力することが重要である。今年も組合員10%増加の目標を掲げて取り組む。
 目標達成に向けて、新規加入を増大させることは当然であるが、退会者の減少の取組みも重要である。そのためには1人1人の組合員にとって加入していることの価値を実感できるような取り組みを進めることが重要である。また役職等を理由にした退会については、附属学校園長など「外部組織」の管理職など、組合の交渉相手とならない役職については条件を緩和することとする。さらに過去、様々な理由があって退会された教職員に対して改めて再加入の働きかけを行う。新規加入については、引き続き、「組合員拡大キャンペーン」(図書券のお礼付き)や「組合加入お試し制度」(一定期間の組合費免除)を実施するとともに、支部長会議を通じた支部レベルの取り組み強化、ランチミーティング等を通じた加入の働きかけを行うとともに、大学の新規職員の研修会等のあらゆる機会を利用して組合の宣伝に努めることとする。

2.組合員のメリットを高める労働協約の締結を目指して

 過半数代表でない組合は、「36協定」、「裁量労働制に関する労使協定」などの締結権を持たない。また就業規則は当然であるが労使協定も、全教職員が適用対象である。さらに組合が実現した要求事項は、組合の加入の有無にかかわらず全教職員に適用される。このため、組合運営の負担をしていなくても組合の成果を享受できるという「フリーライダー」問題が不可避的に発生するが、これは組合活動の宿命とも言える問題でもある。
 労使間で締結が認められている労働協約は、組合員だけに適用され、就業規則よりも法的拘束力が高いものである。現在、「組合活動に関する労働協約」など3本の労働協約を大学と締結しているが、この結果、就業時間中であっても団体交渉を含めて正当な組合活動を行うことが権利として認められている。この点は、他大学にはない財産となっている。
 昨年、学校教育法に合わせた就業規則改定によって、教職員の「配置転換・出向・転籍」ならびに「降格・解雇」については、従来の「本人の意向に反することなく」という文言が削除され、教育研究評議会の審議ではなく「議を経て」学長が決定できるようになったのに伴い、新しい労働協約の提案を行った。実際、現在の就業規則上は、組織の統廃合を理由にした解雇や抽象的な理由での解雇が可能な条項が盛り込まれている。他大学では、恣意的とも言える解雇処分事例が発生している。教職員の雇用保障を強める観点からも、引き続き労働協約の締結を提案することとする。また組合加入のメリットを高めるような様々な労働協約について検討し提案していくこととする。

3.より良い職場の実現を目指して

 組織改組の変化が早く、また複雑化しており、教職員の負担は増すばかりである。教員は裁量労働制の下で労働時間の概念なく山積する業務の処理に追われている。職員も多様化複雑化する業務を少ない人員でこなすため長時間労働が常態化している。心の病での求職者の増大がさらなら将棋倒しを産み出すという悪循環が生まれている。私たちの健康と暮らしを守ること、そして教育と研究を充実させることがますます困難になってきている。
今年度も昨年に引き続き5月末から6月はじめにかけて、教職員がどういう労働環境と教育研究条件のなかで苦闘しているのか把握するため実態調査アンケートを行なった。アンケートを解析し、より良い職場の実現のための問題と課題を浮き彫りにして、それを要求項目として整理して、大学との事務折衝並びに団体交渉を通じて改善を要求する。技術職員の待遇改善、非正規職員の待遇改善、地域調整手当の東西格差の是正、再雇用問題などより良き職場に貢献するあらゆる課題に引き続き取り組んでいく。

4.「第3期中期目標期間の人件費削減の方針について」への対応

 5月25日の役員会で決定された「人件費削減の方針について」は、予算ベースでの人件費見込み額が平成28年度70.2億円から平成33年度には66.4億円に約3.7億円減少するという想定のもと、定年退職者のポストの半分を不補充とする一方、各部局に配分されたポイントの毎年0.5%削減などを提案している。この結果、各部局では大きなポスト削減を迫られている。
 昨年度の人事計画の大混乱を再び繰り返さず、かつ学部等での教育研究に必要なポストを確保し、教育研究条件の劣悪化を招かない観点から見たとき、この提案を大きな問題を孕んでいると言える。端的に言えば、客観的で正確な財政ガバナンスに基づかない「教育組織の改組、全学横断教育プログラムの実施、新規事業の実施に伴う新たな人材確保」を優先させた負担を事後的に各部局の人件費削減で帳尻を合わせている可能性が高いからである。このようなガバナンスが放置されている限り、様々な改革プログラムの実施の結果、「歯止めなき」人件費削減が続く危険性が高い。
 組合としては、財政分析WGを立ち上げて、静岡大学の財政分析に基づいて「人件費削減の方針について」の分析を行う必要がある。その上で、人事計画のガバナンスの在り方について建設的な問題提起を行っていくこととする。

5.個別の要求課題について

(1)「人事院勧告の55歳の昇給・昇格制度の改正」など「年齢差別」の撤廃に向けて

現在、55歳昇給停止はもとより、年齢を理由にした機械的な賃金待遇の切下げが行われている。また昇給に関する評価基準も年齢で差別的に適用されている。しかし同一業務を行い、同じような成績を上げているにも関わらず異なる昇給等を適用することは年齢差別であり不当である。
5月13日には東京地裁は、定年後の再雇用で定年前と同じ業務なのに給与を引き下げるのは違法だという判決を下している。そのポイントは「有期雇用であることを理由にした賃金格差が労働契約法20条違反であり、正社員と同じ賃金を支払うべきだとしたこと」(朝日新聞5.14日付け)とされる。現在、政府は「同一労働同一賃金」の原則の適用強化を進めているが、この原則は正規・非正規の違いのみならず、年齢の違いの場合も同様に適用すべきものである。
組合としては、定年後の再雇用についてはフルタイム雇用の実現を追求するとともに、年齢を理由にした差別的昇給制度の撤廃を求める。少なくとも当面昇給停止年齢を段階的に引き上げることを要求するものとする。また年齢を理由にした時間単価の引き下げなど労働条件の切下げの是正を求めていくほか、あらゆる年齢による差別の是正に努めるものとする。

(2)技術職員の待遇改善について

静岡大学では、定年退職に伴う新規採用を長年の間不補充としていたため、50才代が技術職員全体の60%を占めている。そのため(4級以上の)上位級の定数不足が深刻であり、事務職員との昇格格差が生じてきている。現在の昇級カーブ(ラスパイレス指数 84%)を抜本的に改善する昇格基準の見直しを行うとともに、55歳以上の団塊世代に対応して暫定定数として技術専門員の増員など5級昇格の道を広げることを要求する。
また、一般公募で採用される技術職員は、大学院卒等、専門的能力の相当高い者もあり、古色然とした現行の給与格付けはその実態に即していない。一般公募で採用されたか否かだけで給与格差が生じる現在の状態は、勤務に対するモティベーションの低下や優秀な技術職員を採用できない等、静岡大学全体としての不利益につながるものであり、採用時の給与体系を実態に即したものとすること、ならびに現職にある職員の格差是正を要求する。
さらに技術職員が定年後に、その経験と技能をフルに活用できるようにフルタイムでの再雇用を行うことを求める。

(3)東西両キャンパス地域調整手当支給率の改善(当面、静岡5%、浜松5%にすべきである)

組合側要求によって、現在5:4にはなっているが、同じ大学で差があるのは問題である。人件費相当分の余剰金が毎年生じる仕組みになっており、恒久的に同率6%での支給を要求する。地域調整手当は、法人化前採用の非常勤職員時間給にも適用され格差を生んでいる。静岡が3%であるのに対し、浜松が0%であることの格差は、非常に大きな問題であるので、この点についても改善を求めて行く。

(4)通勤手当について

2015年には、「大学の職務命令により、たとえば静岡―浜松間の通勤を余儀なくされている教職員については、通勤手当をより新幹線通勤の実費に相当する額にするよう要求」し、その実現を図ることができた。
しかしながら、「新規採用教職員」に対しての通勤手当については、静岡―浜松間の新幹線利用相当額の支給は見送られてしまった。事務折衝において大学側は、「そもそも新規勤務地が浜松であるので、支給に該当しない」という内容の考え方を示したが、この問題について、実情に見合った通勤手当の支給となるよう、今後も要請していく。

(5) 浜松キャンパスの「学務関係の事務の一元化」に伴う事務機能・事務職員の適正配置について

浜松キャンパスにおける事務・図書館棟の新改築に伴う、学務部(浜松での本部機能)の具体的な業務内容と事務機能改善への効果についての説明を要求する。とくに、学生係の廃止については一切連絡などがなかった。このため、どこに連絡すべきかなどの混乱が生じた。また、情報学部事務の事務・図書館棟への移動なども行われた。事務組織の変更を行う場合には、教職員への説明を事前に行うことを要求する。また、新たな本部付き業務を担当する職員については、浜松キャンパス関連部局からの吸い上げではなく、「色付き」定員の移動等、適正な事務員配置を要求する。
浜松キャンパスにおいては、ある事務部局で(激務のために)立て続けに体調不良者が出る等、事務職員が適切に配置されているとは必ずしもいえるものではない。各部局における勤務内容・作業量等をきちんと把握し、学務関係に限らず事務職員が正しく配置されることを求める。このため、本部機能の一部を浜松へ移転することを求める。

(6)非常勤職員(パート職員)の待遇等について

 非常勤職員の意欲と能力を活かすことが大学事務の効率的な運営においてもますます不可欠となっているが、同じような業務と責任を負いながら大きな待遇格差が存在していることが、その能力活用を妨げ、そして正規職員の過重労働を招くという悪循環を引き起こしている。
 非常勤職員の待遇改善について、①経験に応じた昇給を可能にする制度の構築(時間単価の改善)を要求する。②時間給については、東西キャンパス間(法人化前 旧給与表2-4 浜松時給1063円、静岡時給1095円)で差があり、この差の是正を求める。本来、同一労働同一賃金の原則に従えば、常勤職員との賃金格差自体が是正されるべきであることを踏まえ、総体的な時間給の引き上げも求める。また非常勤職員については、制度的に複雑な問題を含んでいるので、昨年に引き続き、その是正に向けた提案を含めて大学側に働きかけていく。③時間単価の改善にとどまらず、有給休暇の拡大、一時金の支給など同一労働・同一待遇の実現に向けて要求していく。④現在の契約更新2回で上限5年での雇止めは、非常勤職員の経験を活かすうえで大きな障害となっているので延長を求めていく。
 平成24年8月公布の改定労働契約法では、有期労働契約が同一雇用主のもとで反復更新され通算5年を超えた時は、無期労働契約に転換できる権利が発生するとした。本来は雇止め是正を意図したものであるが、無期雇用への転換を阻止するために5年での雇止めを促進する結果となっている。静大では組合の要求の結果、2回更新で上限5年までへの延長を実現してきたが、新たな労働契約法を保証された無期雇用への転換権は保証されるべきである。
 パート職員が正規職員としての採用を目指す際に受験することとなる、いわゆる「登用試験」について、これまで問題の適正化など、いくつかの改善策が講じられてきたが、それに加え、試験方法や内容の大きな変更(試験要項の変更)が予定される場合は、その変更を早めに受験希望者に伝えるなどの更なる配慮を求める。

(7)再雇用制度の改善について

 現在、本学の定年後の再雇用条件は、2004(H16)年4月1日に施行された「静岡大学教職員再雇用規程」によって定められている。同規定にしたがい、再雇用職員が責任ある業務に従事している。今後、年金支給開始年齢が段階的に引き上げられていくが、そうした現状に対応すべく、再雇用職員の待遇改善を要求する。具体的には再雇用を希望する者が選択できる制度の実現を要求する。
① フルタイム再雇用の促進について
  パートタイムとフルタイムでは、稼得賃金の差があることはもちろん、種々の身分保障上の差も存在する。現行制度は、年金支給開始年齢が60歳であるという前提で定められたものであることも考慮されるべきである。フルタイムでの再雇用の促進を要求する。
② 再雇用上限年齢の改定について
  本学の規程では、再雇用上限年齢が満65歳に定められている。それらの規程に対して、状況に応じて上限年齢を速やかに改定することの約束を要求する。年金支給開始年齢の引き上げが、今後も予想される以上、事態の進展に合わせた規定の改定がなされることが求められる。

(8)「専門業務型裁量労働制に関する労使協定」他の改善について

  2015年5月末に、3年期間の上記労使協定が3月末に期限切れとなっていたことが明らかになった。しかも、大学側は、その事実を教職員組合に通知しないまま、過半数代表者に対して4月1日時点で締結したかのような協定書を作成するよう一片の文書で依頼したのである。また過半数代表者にすら、失効の事実の通知がなされなかったばかりか、協定関係の資料が提供されず、改訂に向けた協議の機会も与えられていなかったことが判明した。裁量労働制という教員の労働条件にかかわる最も基本的な労使協定に対するこのような極めて杜撰な扱いに対して、教職員組合は、組合の労働条件改善の交渉権を奪う行為として即座に抗議を行い団体交渉の申し入れを行い、交渉を行った。交渉の結果、改善点として、1年ごとの更新のほか、土日等の祝日の勤務が時間外手当支給の対象であることを認めさせたが、この確認が実際に機能していくよう働きかけるものである。
  なお、昨年度のこの交渉の過程で裁量労働制に関する改善すべき多くの不備が明らかになった。例えば、厚生労働省のガイドラインにも反して、苦情処理体制が具体的に示されていない上に、労使協定に反して、入試等の休日業務が機械的に振替休日扱いとされてきたこと等である。これらの問題は、別途要求の重点課題として取り上げていくが、教職員組合としては、労使協定の内容についても過半数代表と協同して、大学側と交渉することで、労働条件の改善に交渉力を発揮していく方針である。

(9)振替休日の適正な運用について

  昨年の裁量労働制に関する土日勤務の取り扱いの交渉の過程で、大学側の振替休日の処理が極めて不適切になされていることが判明した。土日勤務の場合の振替休日は、前日までに1週間以内の振替日を特定して決定した場合においては、休日時間外手当の支給は必要ない。しかし、事前に特定できずに事後的に休日を決定した場合は「代休」となり、休日の割増賃金の支払いが必要になる。また事前に休日を特定した場合でも、1週間を超えた場合は週40時間の法定時間を超えるために時間外の割増賃金を支払うことが必要になる。ところが、大学側は、代休に該当する場合でも機械的に振替休日として処理し、休日時間外手当の支給を怠ってきた。
 一部の部局では、書面で前日までに1週間以内の振替日を特定して提出することを求めてきたが、その場合に現実的に休みが取れなく場合でも書類上休んだことにした処理が行われてきたため、長時間労働を促進する結果となってきた。また別の部局では、事前に書面による1週間内での振替日特定ができないために、事後的に振替日を確認する形で処理されてきた。この結果、代休日が振替休日として虚偽の処理が横行してきた。
 組合としては、教職員がしっかりと休養を確保することが必要という見地から、①無理矢理に1週間内での振替日決定を強制するような事務処理を行わないこと。②1週間を超えた振替日で十分な休養確保を保証する一方で、その場合に対する時間外手当の支給を適切に行うことを求める。

(10)入試業務の負担軽減と適正な手当の支給について

 不二速報2号でも明らかにされたように、静岡大学教職員の大学入試センターの負担は重い一方で、必ずしもその負担に見合った報酬が与えられていない。受け入れ受験生や担当する受験会場の再整理を通じて、他大学に比べての過重な負担の是正を求めていく。また大学入試センター業務にかかわる収支のデーターの公開を求めて、大学入試センターからの収入が適切に入試従事者に還元されているかのチェックを行うこととする。

(11)特任教員や年俸制など新しい働き方の増大における問題について

 近年、特任教員などの任期付き教員の増大など教員の働き方も多様化している。また年俸制の拡大など報酬システムについても多様化している。さらにさまざまなプロジェクトに伴う任期付き雇用で、プロジェクトの終了に伴う雇止めなど様々な新しい問題が顕在化してきている。とりわけ特任教員・事務職員の任期は、「最初の契約から通算して5年を超えないものとする」とされており、任期切れに伴う雇用不安が現実的な問題として顕在化している。
平成24年改定の労働契約法では、有期契約の反復更新で5年を超えた場合は無期雇用への転換権が生まれるとされたが、「大学の教員等の任期に関する法律」改定では反復更新で10年という特例が定められた。無期雇用転換権の発生が5年から10年に延期されたこと事態にも問題があるが、少なくとも5年を上限にした雇止めは撤廃されるべきであり、「特任事務職員等に関する規定」の5条の5年を10年に変更することを求める。早稲田大学では、非常勤講師に対する上限5年での雇止めは撤廃されており(無期雇用への転換と10年上限への二種類)、非常勤講師も含めて労働契約法の趣旨を踏まえた無期雇用への転換を保証するように求めていく。
組合としては、特任教員問題や年俸制問題についての分析を行い、その問題点を整理することで、教員に不利益が発生しないように取り組むこととする。

(12)常葉大学短期大学部を「不当解雇」された教員の支援要請について

 補助金の不正受給の内部告発を理由として、2015年3月に常葉大学を解雇された教員はその地位保全を求めて裁判所に仮処分決定の審議を求めた。その後、2015年7月には、仮処分として、「本件懲戒解雇は、処分として重きに過ぎるものと言わざるを得ない・・・本件懲戒解雇は無効であると一応認められる。」と認定された。しかしながら、常葉大学はこの7月の仮処分決定に対して、その取消しを申し立ており、教員の回復しがたい著しい損害は一層深刻なものになってきている。
当人の要求を踏まえ、大学自治とその民主的運営の擁護の観点から、当人の完全な地位保全に向けて、可能な支援を行うものとする。その一環として、県内の大学の教職員組合(静岡大学、静岡県立大学、英和学院大学)との共同で、大学教員の身分保障に関するシンポジウムを2016年6月26日に開催する。なお、このシンポジュウムの後援は、全国大学高専教職員組合、全国公立大学教職員組合連合会、全国大学人ユニオン、静岡県労働組合評議会、日本科学者会議静岡支部となっている。

6.その他

(1)2014年のシニア会からの寄付金で抜本的に改修された教職員組合のホームページの改善と充実に取組む。過半数代表コーナーやシニア会コーナーなどを新設するほか、カウンターの設置やフェイスブックや工学部支部HPとのリンクなどの充実や掲載記事の頻度や内容の充実に取組む。

(2)教職員組合事務所の設備の充実や看板等の改修
 教職員組合事務所の設備の充実や看板等の改修を行い、親しみやすい組合の存在をアピールできるようにする。

(3)浜岡原発再稼働の問題について
 地震活動の活発化そして何よりも活断層上に建設されている浜岡原発の再稼働は、静岡県に所在する静岡大学の存立基盤そのものを脅かす危険性を内包するものである。日本のエネルギー状況等を踏まえた場合、その再稼働は絶対必要なものとは思われない。再稼働反対を求める運動に対して協力していくものとする。

(4) 大学行事における国歌斉唱の強制の問題について
 入学式や卒業式等の行事は、同時に大学の教育活動の一環である。それに対して予算誘導を背景にした文科省等による国歌斉唱の要請は、大学の学問の自由を守るための大学の自治の在り方へ乱暴な干渉である。教職員組合は、執行部声明を2015年6月に発表したが、今後とも事態の推移を見守りつつ、適切な対応を行っていく予定である。

(5)「教育のつどい2016イン静岡」成功への協力
 本年8月に開催される予定の教育研究集会について、現地実行委員会参加団体として成功に向けて尽力する。

Ⅲ 専門部の活動と職種別課題

1.組織法制部

 昨年に引き続き、運営交付金の減少とそれに伴う教員の基盤的研究費の減少、職員の残業の常態化や団塊の世代の大量退職による技術職員問題、非常勤職員の雇い止め、さらに就業規則の改正に伴う給与の引き下げ(3年間は現給補償されるが)、55歳以上の定期昇給廃止、教職員の配置転換、出向、転籍、降格、解雇に関する本人の同意規定の削除など、多くの切実な課題が平成25年からの大幅な改組の影響で顕著となりつつある。
 そこで昨年同様、教員、事務職員、技術職員や非常勤職員など各職種別に懇談会を積極的に開催し、雇用の継続や改善、将来の身分保障などに関する問題に対する意見と要望を汲み上げ、学長との団体交渉に反映させていく。
 また東西キャンパスの地域調整手当格差の是正については、恒久的な同率6%支給の実現に向けて要求して行く。基本的研究経費の減少については、特に実験系学部で切実な問題であることは昨年までと同様であり、早急に改善を求めるとともに労働者の基本的権利の確保を要求していく。
 これらの要求の実現には組合機能の維持・発展が不可欠であり、組合員の拡大とともに組合活動を収入面でも安定化させる必要がある。そのため組合の取り組みを非組合員にも積極的に広報することに努める。

<技術職員>
大学職員の給与水準はラスパイレス指数が84%であるにもかかわらず、55歳以上の国家公務員の給与は民間に比べて高いことを理由に昇給停止するという勧告を受け、静岡大学が勧告をそのまま実施したことが現在の給与問題の根源である。具体的には、これまでの技術職員は53~54歳で4級に昇格して給与が上がる(現給保障額を上回る)が、昇給停止措置により55歳で給与が上がらなくなる。また、技術職員の年齢構成は非常に高く、55歳以上の者が20数名下り、半分以上が専門員になることができないまま、4級で退職している。標準定数として10名と考え、55歳以上の団塊世代に対応して暫定定数として技術専門員の増員などの方策を要求していく。
当面の活動として、昇格基準の改善や新規採用や再雇用制度の見直しを含めた以下の3点について要求する。
① 法人化以前と同様に5級昇格をするため技術専門員(現状定数10名)の大幅増員を行うとともに選考方法の公平化・明確化を行うこと。
② 本年度より定年退職に伴い、再雇用を希望した場合、新規採用を行わない制度に変更された。この場合、パートの再雇用職員がこれまでと同じ仕事量を行うことになり、フルタイムでの再雇用ができる制度への見直しを行うこと。
③ 技術職員の採用に関して、一般公募の技術職員の初任給格付け及び在職者で著しく低い格付けの職員の見直しを行うこと。また、職務内容によっては、技術専門職員(初任級2級)での採用(公募)も可能にすること。

<有期雇用職員>
「常勤職員化」という最大の課題について、本学の取り組みはあまりにも遅すぎたと言わざるを得ず、それが有期雇用職員の高齢化をもたらし、常勤職員化の意欲を削いできた。組合として取り組むべき待遇改善の要求としては、「給与の頭打ち廃止」と「常勤化」である。
したがって有期雇用職員にとって現実的に取り組むべき課題は、非常勤職員と連携して、法人化以降の非常勤職員の時間単価を引き上げることである。有期雇用職員が定年後再雇用される場合は非常勤職員とみなされるため、賃金水準も法人化後の非常勤職員に準じることになるが、全国的に見ても低賃金と思われるので強く改善を求めていく。

<非常勤職員>
【問題状況】
 本学においては、定員削減が続けられる中、常勤職員の非常勤職員への転換が進められており、もはや非常勤職員の存在なくして、本学の教育研究機能を維持することが不可能であることは周知の事実である。しかしながら、その結果、非常勤職員については、その勤務内容が従来の正規職員と大きく異ならないにも関わらず、賃金が低く抑えられている実態がある。特に法人化以前からの非常勤職員についてはその時給がそのままに据え置かれている現実がある。スキルアップを遂げ、円滑な教育研究のための仕事をしてもらっていることを考えるなら、これは著しく不当であり、時給をあげる必要がある。また、法人化後雇用された非常勤職員については、なお不合理な雇止めが断行されている。こうした事態が、非常勤職員に対して過度の負担を強いる結果となっている。
 法人化後、当初は3年間の雇止めが行われていたが、2010年度に雇止め対象者自身の参加によって支部レベルからの交渉や団体交渉を重ね、5年までの延長を勝ち取った。しかしながら、労働契約法改正によって、1度以上契約を更新し、5年を超えて雇用されている有期労働契約については労働者の申し込みにより無期契約に転換するものと定められた。
 そもそも、5年もの長期にわたって雇用し続ける必要のある職務は本来無期雇用で対処すべきものである。また、その職務を5年間問題なく勤め上げることができている労働者が職務に適性と十分な資質があることは明らかであって、法の趣旨通りに無期雇用契約に転換することが大学にとっても有利であることは火を見るよりも明らかである。

【賃金格差とその是正】
 非常勤職員については、現在6つの職種等に区別されており、給与についても複雑な状況にある。法人化前には非常勤職員の賃金も常勤職員と同様に給与表により経験勤続年数等を考慮して賃金が決められていたが、法人化後は経験等を考慮せず、職種ごとに一律の時間給が適用されることとなった。法人化前に雇用されていた非常勤職員については2003年時点の時給が保証されたが(但し後に一部削減)、法人化後の時間単価より低い者については法人化後の単価が適用された。
 そもそも、非常勤職員の職務は事務補助等とされていながら、単独で責任ある職務を委されている場合があるにも関わらず、常勤職員に比して不当に低い賃金に止められているという格差が存在する。第1に問題とすべきはこの格差であり、法人化前後雇用を問わず非常勤職員全体の賃金体系の抜本的な改善が必要である。
【雇止めの見直しと無期転換の促進】
 本学においては法人化前後の雇用に関わりなく、非常勤職員については1年期間等の雇用契約が結ばれている。前述した通り、改正労働契約法18条によって1度以上契約を更新され5年を超える期間雇用されている有期雇用労働者については、無期転換の申し込みを行えば自動的に無期雇用契約に転換されることとなった(下記参照)。
 その改正の趣旨について、厚労省は次のように説明している。
「有期労働契約(期間の定めのある労働契約をいいます。以下同じ。)については、契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されずに終了する場合がある一方で、労働契約が反復更新され、長期間にわたり雇用が継続する場合も少なくありません。こうした中で、有期契約労働者(有期労働契約を締結している労働者をいいます。以下同じ。)については、雇止め(使用者が有期労働契約の更新を拒否することをいいます。以下同じ。)の不安があることによって、年次有給休暇の取得など労働者としての正当な権利行使が抑制されるなどの問題が指摘されています。
こうした有期労働契約の現状を踏まえ、法第18条において、有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合は、有期契約労働者の申込みにより期間の定めのない労働契約(以下「無期労働契約」といいます。)に転換させる仕組み(以下「無期転換ルール」といいます。)を設けることにより、有期労働契約の濫用的な利用を抑制し労働者の雇用の安定を図ることとしたものです。」
 つまり、労働者の正当な権利を守り、雇止めの不安それ自体を解消することが改正の目的である。そもそも、5年もの期間継続してその職務を務める適性があり、熟練した職員を継続して雇用することは経営上も有益であるのは明白である。
 改正法18条自体は、2013年4月1日からの施行であるため、無期転換の申し込みは2018年4月以後であるが、大学は安易な雇止め政策を直ちに取りやめ、非常勤職員について積極的に無期雇用契約への転換をはかっていくべきである。
 
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【労働契約法抜粋】
(有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換)
第十八条  同一の使用者との間で締結された二以上の有期労働契約(契約期間の始期の到来前のものを除く。以下この条において同じ。)の契約期間を通算した期間(次項において「通算契約期間」という。)が五年を超える労働者が、当該使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に、当該満了する日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなす。この場合において、当該申込みに係る期間の定めのない労働契約の内容である労働条件は、現に締結している有期労働契約の内容である労働条件(契約期間を除く。)と同一の労働条件(当該労働条件(契約期間を除く。)について別段の定めがある部分を除く。)とする。

2.人事給与部

 大学執行部は毎年多額の「剰余金」を計上していると推定されるが、これらは本来ならば全て組合員の給与になるべきものである。つまり、これら剰余金は教職員の給与から奪われたものである。本年度の執行部は、以上の大学側の不誠実な態度に対し、引き続き、給与の改善を要求し、3年間の現給保証はされているものの非公務員型国立大学法人であるにもかかわらず人事院勧告に準拠した基本給改定に伴う最大3.3%もの給与削減、55歳以上の教職員の昇給抑制、静岡と浜松との地域調整手当の同率化、静岡・浜松間通勤における新幹線特急料金の全額支給、非常勤職員の経験に応じた時間給の引き上げ、技術職員の待遇改善等の問題に対し、給与の改善を求める。
 さらに、現在導入されつつある年俸制や任期制についても、その問題点を指摘し、財政健全化の美称を掲げながら教職員、組合員の生活破壊を進める大学執行部に対抗する。

3.教育文化部

大学設置基準の改正以降、煩瑣な書類作成などが課される教育や研究の自己評価・点検が努力義務化されてきた。
また、正規教職員の減少とパート職員や派遣職員への依存度の増加など、組織運営を支える環境も大きく変化してきた。
現在、大学の新たな組織改革が進行する中で、教員個人は、教育と研究という本来行うべき仕事以外の業務に追われ、職員は種々の関連業務が山積となり、多忙化により 拍車がかかっている。そして、大学で学び働く者の間の意思疎通がきちんと図られているとはいえない状況も続いている。教育文化部では、こうした状況を打破し、時代変化に即したアカデミックな共同体としての大学の成立に必要なコミュニケーションのあり方を考えるため、「教職員研究集会」などを開催し、また学内団体と協力して「青空のもとでピース」などの企画を開催しながら、各職種の皆さんと情報交換を図っていきたいと思う。是非ご協力のほどよろしくお願い致します。

4.調査広報部

(1)調査活動・報告
 1)労働環境の問題点調査
   今年度は、下記の点について重点的に調査を行う。
・事務については残業や休日業務など、教員については複数の兼担などの労働環境に問題がある部署について、職種別懇談会などを通じて情報を収集して問題点を把握するとともに、改善を求めて行く。
・浜松キャンパスでは事務一元化にともなう業務の多忙化と複雑化が生じている。事務機能の改善状況や適切な人員配置が行われているか、あるいは学長の組織改革に対するグランドデザインが適切であるかどうかの調査を行う。
 2)調査結果の報告
 現状の問題点について、学長選での論点にすることも含めて調査に基づき組合員のみならず全教職員に分かり易くまとめ、(2)の広報活動(ホームページや不二速報)などを通じて広く学内に周知するよう努力する。
(2)広報活動
 ホームページや不二速報、立て看板を通して、組合活動やその成果、(1)の調査結果報告や各種行事のアナウンスなどの情報の周知に努める。
 1)ホームページの管理と周知
・組合の「顔」となるホームページの存在とホームページを利用した情報の発信を迅速かつ分かり易く教職員に周知して行く。また、教職員全体へのメーリングリストを活用した情報の共有を図り、組合の存在をアピールする。
 2)不二速報の発行
・年10回程度発行し、定期的に教職員全体に情報とトピックスを提供する。今年は静大の将来にとって非常に重要な学長選があるので、その他の情報とともにスポットライトを当てて行きたい。
 3)掲示板及びインターネットを活用した情報の発信
・静岡では組合用の掲示板を積極的に活用するとともに、メーリングリストを用いて各種活動への呼びかけ・労働環境改善に関する情報や学長選の情報などを全教職員に広報し、組合活動への理解を深める。

5.厚生部

(1)例年どおり、無農薬新茶の斡旋を継続するほか、冬には恒例の「組合スキーと温泉の集い」を計画する。また、みかん狩りなどの催しについても検討する。
(2)その他、組合活動が楽しくなるような企画を募集する。
(3)教職員共済生協(「教職員共済」)、全労済加入と労金利用への取り組み
教職員共済生協の「総合共済」は普通の火災・災害、休業。介護、退職等の保障に加えて「教職員賠償」、つまり教職員の職務中に生じた様々な損害を賠償する保険を提供している。近年、教育遂行業務(入試業務、海外への学生引率、相談業務等々)において、大学執行部は末端の教職員に責任の全てを負わせようとする姿勢を取っている。このような執行部の姿勢に対して自己防衛策としてこの保険は有効である。保険には損害賠償金、訴訟対応費用(弁護士費用)、被害者対応費用等もカバーしたものになっている。組合では共済への加入が組合員の利益となると判断し、昨年に引き続き、加入取り組みを強化する。また全労済についても、地域に密着し、対応の早い自動車共済、火災共済を中心に加入の取り組みをすすめる。労金についても、組合員の福利厚生の大きな柱として、組合員の利益になるような情報を提供し、利用の取り組みをすすめる。加入者・利用者が増えることにより、利用配当金や事務手数料も増えることになり、結果的には組合員に還元されることになる。
   組合員からの要望の多い「退職後の生活設計セミナー」も教職員共済や労金の手続きなどの説明を中心に可能な限り開催する。

6.女性部

  静岡大学の男女共同参画施策の一環として、現在、静岡では一時保育所が、浜松では民間に委託した形で春、夏期の学童保育が行われている。しかし、利用料が安くないこともあり、必ずしも使い勝手がいい制度とはなっていないことから、教職員組合としても、静大における男女共同参画を推進していくとともに、大学の制度が、より使いやすい、実効性のあるものとなるように働きかけていきたい。
また特にセンター入試や教授会など土曜日や日曜、祝日などが勤務日にあたっている場合は自己負担を求めるのではなく、大学側が負担するなどの措置が必要であり、これについても働きかけていきたい。
また組合が要求してきた産前休暇の拡大(6週から8週)が実現したことは大変喜ばしいことである。女性部としても産前休暇の拡大を始めとする静大の労働条件についての広報に努め、この産前休暇の取得を実効性あるものとするとともに、育児休暇や介護休暇を利用しやすい職場づくりにも力を入れていきたい。
また静岡大学では多数の非常勤職員が働いており、その多くが女性職員である。しかし大学当局の推進する男女共同参画が必ずしも事務職員、技術職員、また非常勤職員を含むものとはなっていないと思われることから、全ての職種を対象とした男女共同参画施策を実行するように働きかけを強めていきたい。そのためには女性部はこれまでも、非常勤職員の雇用継続問題や正規職員化問題、また法人前から勤務している非常勤職員の待遇改善(賃上げ、一時金支給、東西格差是正など)などに取り組んできたが、今後も引き続き、これらの問題や技術職員の待遇改善問題について取り組んでいく。また女性職員の昇進昇格が遅れていることについては、データの公表を大学側に求めるとともに、雇用機会均等法等の趣旨にかなった、積極的差別是正策を講じることを要求していく。
  これらの実現のために、まずは集会や職場ミーティングなどを開催し、組合における女性部の活動の組織化および活性化を課題としていく。

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