活動方針・活動予定

Ⅰ 今年度教職員組合の重点課題について

(1)新型コロナウイルス感染症対策に関連する活動

 2020年最大の社会的問題とも言える新型コロナウイルス感染症対策に関連して、①学内及び通勤・通学における新型コロナウイルス感染防止を徹底すると共に、そのための制度設計や予算配置を適切に行う、②オンライン授業の実施に伴う負担増も含め、各種対応にかかわる教職員の業務時間・業務負担を適切に管理し、適切に手当を支給する、③新型コロナウイルス感染症対策の結果生じた経済的困窮に苦しむ学生に対して、独自の支援策を打ち出し強化する、④これらの対応について、迅速に情報発信をすることにより、教職員や学生の不安解消に努める、以上の4点を柱に大学と協議を行い、静岡大学の新型コロナウイルス感染症対策がより充実し不備のないものになるよう、積極的に活動する。

(2)組合員を増やす活動

 法人化以降直後に比べ、現在の組合員数は半分近くまで減少している。2019年度には組合費が前年度比で84万円も減少し、従来の活動水準を維持することが難しい状態に陥った。支出の削減にも限界があり、今後は今まで以上に緊急に組合員を増やす活動に取り組み、早急に組合員を増やさなければならない。特に組織率の低い理学部・農学部の組合員増加への取り組みは、喫緊の課題である。そのうえで、組合財政の健全化を図っていく。
 静岡大学における組合活動の価値・意義、組合が存在することにより我々教職員が得られるメリット等について再確認しながら、あらためて「組合加入お試し制度」(組合費の半年免除)を柔軟に活用して幅広く加入を呼びかけるとともに、支部レベルの取り組みを強化し支部単位のランチミーティングなどで直接加入を働きかける。
 新規採用教職員に対する研修会やガイダンスなどの機会が、今年度は新型コロナウイルス感染症対策において失われてしまったこところではあるが、今後は不二速報(組合加入申込書を添付)を活用して、積極的に組合活動の宣伝を行う。また、未加入者に対しては、個別に加入の呼びかけを行う。

(3)不安定な立場に置かれている教職員の要求を受けとめ大学に要求する活動

 国際連携推進機構などで「特任」で採用されている教員や、任期付き・再雇用など不安定な雇用のもとにおかれている教職員の声・要求を受けとめ、労働問題上の改善を大学側に求めていく。

(4)静岡大学における教職員組合活動の価値・意義について、すべての教職員が再確認できる機会を提供する取り組み

大学設置基準の改正以降、煩瑣な書類作成などが課される教育や研究の自己評価・点検が努力義務化されてきた。「評価疲れ」ともいわれるような状況が続いている。また、教職員の非正規化が進行しており、正規教職員の減少とパート職員や派遣職員への依存度の増加など、組織運営を支える環境も大きく変化してきた。現在、大学の新たな組織改革が進行する中で、教員個人は、教育と研究という本来行うべき仕事以外の業務に追われ、職員は種々の関連業務が山積となり、多忙化に拍車がかかっている。さらに、職場のゆとりが減少し、大学で学び働く者の間の意思疎通がきちんと図られているとはいえない状況も続いている。一言でいえば、「働きにくい職場」に陥っている。
こうした状況を改善し、個々の教職員が持ち得ている能力が十分に発揮されていくような職場環境の実現を目指して、民主的な形で大学側に要求できる教職員組合の潜在能力を、すべての教職員が再確認できる意義は大きいと考える。同時に、時代変化に即したアカデミックな大学の在り方を構想する時に役立つ他大学の実態を知る情報網を教職員組合は保持しており、このことをすべての教職員に理解してもらう意義も大きいと考える。
このような「組合活動の価値・意義」についての情報発信、広報活動を今年度はさらに推進していきたい。
その具体のひとつとして、組合のホームページを刷新していく。
また、労働問題に関する日常的な相談受付の実施、「不二速報」の配布、「教職員研究集会」などを開催し、各職種の皆さんと情報交換を図っていきたいと考える。

(5)静岡大学と浜松医科大学の法人統合や大学再編問題への対応

 静岡大学と浜松医科大学の統合・再編をめぐっては、前年度中に静岡市に協議会が設置され、今年度にかけて第2回までが開催されているが、依然大学側が当初予定していたとおりの形とスケジュールで実現できるのか、最終的にどのような組織になるのかなど、不確定・不明の点が多い。引き続き情報提供を求めてゆく。
 また令和2年度第2回企画戦略会議(5月20日)の会議資料に含まれている、第17回静岡大学・浜松医科大学連携協議会議事要旨(3月30日)によれば、前年度「経営力を強化する新たな法人経営の実践のための業務執行及びその体制の効率化に向けた支援業務」を落札したコンサルタントからの提案を受け、両大学が合意した項目として、浜松地区新大学の業務体制構築のために、浜松医科大学および静岡大学浜松キャンパスの事務職員だけでなく、静岡キャンパスからの人材も加えるというものが含まれている。現在静岡キャンパスの事務組織でも人員は余裕があるどころかかつかつで業務に携わっており、適切な増員を図らずに人員を移動させれば、業務破綻につながりかねない。適切な人員配置を強く要求してゆく。

(6)学長選考に向けた「意向投票」が実施される前に、各立候補者の大学運営に関する所見等を説明・公開できる「(仮称)学長立候補者と大学教職員との語る会」を計画・開催する。

 来る学長選に際し、立候補者が将来の大学運営等に関する所見・ビジョン等について大学教職員に直接説明・公開(質疑応答含む)できる会の実施を目指す。すべての教職員が静岡大学の今後の進むべき姿をイメージしやすくなるような機会を設ける。
 そのためにも、まずは、「意向投票」が実現されるように、関係組織・関係者との調整を図っていき、同時に「意向投票の結果」が尊重されることを求めていく。

Ⅱ 今年度教職員組合の個別要求について

(1)新型コロナウイルス感染症対策の充実を求める。

 新型コロナウイルス感染症対策に関連しては、静岡大学は他大学と比較すると、時々刻々と変化する感染状況や関連情報に対応して、最良とは言えないまでも、かなり堅実な対応を取っている方である。とはいえ問題点や新たに対応すべき点、修正すべき点など、当然ながら組合の立場から指摘し改善を要求するべき点は多々ある。
 「重点課題」に記したように、組合としては①学内及び通勤・通学における新型コロナウイルス感染防止を徹底すると共に、そのための制度設計や予算配置を適切に行う、②オンライン授業の実施に伴う負担増も含め、各種対応にかかわる教職員の業務時間・業務負担を適切に管理し、適切に手当を支給する、③新型コロナウイルス感染症対策の結果生じた経済的困窮に苦しむ学生に対して、独自の支援策を打ち出し強化する、④これらの対応について、迅速に情報発信をすることにより、教職員や学生の不安解消に努める、以上の4点を基本的な方向性として大学に確認を取ることを出発点に、引き続き非生産的な批判・非難に終わることのないよう注意しながら大学と協議を行い、あくまでも静岡大学の新型コロナウイルス感染症対策がより充実し不備のないものになることをめざして、必要な措置を執るよう要求していく。またこの対策に関係する財務的なやり取りについては、しっかりとした情報公開を行っていくことを求める。

(2)静岡大学と浜松医科大学の統合・再編に関して、引き続き情報の開示を求めると共に、業務負担の増加に対する適切な措置を求める。

 静岡大学と浜松医科大学の統合・再編は、基本的には経営にかかわる問題とはいえ、雇用されている教職員の業務量や勤務形態に大きく影響を及ぼすものであり、前年度に引き続き適切な情報開示を求めてゆく。また統合・再編に伴う人員の配置換えなどによって、一部に過剰な負担がかかることがないよう、適切な人員配置および必要に応じた教職員の増員を要求してゆく。

(3)再雇用制度におけるフルタイム雇用について、その充実を要求する。

 教職員再雇用規程第8条第1項は再雇用職員の勤務時間を1週間30時間と定めているが、同条第3項が新たにいわゆる第1号職員(常勤職員定年退職者など)について「業務の特殊性及び専門性」を条件にフルタイム勤務を認めた(2017年度から施行)。この点は、再雇用者のフルタイム勤務という点で一歩前進と評価することができる。
 しかし、それも「業務の特殊性及び専門性」という条件付きであることから、第1号職員の希望者全員がフルタイム勤務を認められるわけではない。2013年に老齢厚生年金支給開始年齢引き上げに対応する措置として義務づけられたのが65歳までの再雇用であることに鑑みても、定年を延長するのでなければ、希望者全員にフルタイム勤務を認めるべきである。同じく同様の理由から、第2号職員(有期雇用職員定年退職者)、第3号職員(非常勤職員定年退職者)についても、希望者全員のフルタイム雇用を推進することを強く要求する。
 現在の静岡大学では、再雇用者は職場の重要な戦力として欠かせない存在となっている。それだけに、本人が希望する場合は、勤務時間の上限を38時間45分まで拡大することが望ましい。

(4)非常勤職員の雇用期間(5年で雇い止め)の延長を要求する。

 就業規則によれば、非常勤教職員は雇用期間5年を超えるとき、6年目の契約期間満了日の翌日から無期労働契約に転換することを学長に申し込むことができる(非常勤雇用教職員就業規則第5条の2)。しかし、学長裁定「非常勤職員(パート職員)の労働条件等に関する基準」(平成23年1月28日)により、契約更新は2回以内、通算期間の上限は5年(1年-2年〔1回目更新〕-2年〔2回目更新〕のケース)とされ、それらの条件を満たすと雇い止めになる。つまり、最長5年の期間満了で退職を強いられるため、無期労働契約への転換条件(「5年を超える」)を満たすことができない。
 たしかに「非常勤職員(パート職員)の労働条件等に関する基準」は上記雇用期間の例外を設け、①障害者雇用促進法の対象者、または②所定の要件(専門的資格等、部局長が特に必要と認めた業務、部局予算の確保、本人の希望、勤務成績優秀、部局長等の推薦)を満たし学長が認めた者については、5年を超えて雇用することができるとしている。しかし、②の要件はおもに調理師免許や社労士などの国家資格から簿記検定、秘書検定などを想定するもので、極めてはばが狭い。そのため、ほとんどの非常勤職員にとって5年を超える雇用は事実上困難なものになっている。
 大学業務の水準と一貫性を維持するうえで、非常勤職員の雇い止めは極力回避すべきである。そこで、可能な限り、5年を超えて雇用を継続し、無期雇用への転換を図るべきである。非常勤職員の雇用を安定させることは、静岡大学の経営にとって大きなメリットとなる。それはまた労働契約法改正(2012年法律第56号)の立法趣旨でもある。また現在法人統合を進めている相手先である浜松医科大学では、契約更新の回数・期間は既に上限を設けられていない。したがって現行の雇い止めについて、見直し(雇用期間の延長および上限の撤廃)を強く求める。

(5)大学入学共通テスト業務の負担軽減と手当の引き上げを要求する。

 静岡大学が負っている大学入試センター試験の負担は、全国でもっとも高いものである。教職員の数に比して受け持つ受験生の数はきわめて多い。そのためほとんどの教職員が毎年出動せざるを得ないという状態である。加えて、大学入試センター業務に対する手当が不十分であるという不満が教職員の間に根強い。
 大学入試センター試験に代わり今年度より新しく大学入学共通テストが実施されるが、改めて試験業務の負担軽減と入試手当の引き上げを要求する。特に静岡大学の負担軽減策として、静岡県内の「他大学等での試験の実施」を関係機関に強く求めていくよう働きかけを行っていくことを求める。

(6)時間外労働(長時間労働)の是正を要求する。

 時間外労働(長時間労働)は、労働安全衛生上の問題であり、給与・手当の問題でもある。いわゆるサービス残業など、大学として把握している以上に、事態は深刻であると思われる。特に今年度は、新型コロナウイルス感染症への対応に関して、時間外労働等の問題の発生も懸念される。こうした実態を大学に訴え、改善を求めるためにも、組合としてもその実態を把握する努力をすすめるとともに、静岡大学に対しては、シンクライアントなどを用いて職員の労働時間を適切に把握・管理することに加えて、サービス残業や長時間労働を是正するための具体的方策をとるよう、各職場管理職に対して指導を徹底することを求める。加えて新型コロナウイルス感染症の対応のために作成したオンライン講義等の資産について、教員の時間外労働の軽減のために効果的に利用する方法について、大学として丁寧に議論するべきである。また、やむを得ず行われている時間外労働に対しては適切に時間外労働手当を支給するべきである。

(7)55歳昇給停止と減額支給の見直しを要求する。

 静岡大学の教職員は、年齢が55歳に達すると、①事実上の昇給停止(教職員給与規程第11条第4項)と、②基本給等1.5%の減額支給(平成22年11月26日規程附則)を強いられる。
 もっぱら年齢のみを理由として、適切かつ公平な業績評価と昇給を行わず、減額支給という不利益のみを押しつけることに何の合理的理由も認められない。抜本的な見直しを強く求める。

(8)浜松市等の地域調整手当を静岡市並みに引き上げることを要求する。

 現在、地域調整手当の支給割合は、「地域調整手当支給細則」により、静岡市6%、浜松市・島田市・藤枝市4%(3%に特別加算率1%を加えた割合)と定められている。公平性を期すために、一律静岡市並みの割合での支給の実現を求める。

(9)非常勤職員の時間給見直し(時間単価の引き上げ、60歳超の時給引き下げ撤廃、東西格差の撤廃など)を要求する。

  1. 法人化前に採用された非常勤職員の待遇改善要求として、昨年度に引き続き、時間単価(時間給)の引き上げを要求する。2004年度の法人化以後、当該非常勤職員の時間単価は固定化され、まったく引き上げられていない。
  2. 法人化前に採用された非常勤職員の時間給には、東西キャンパス間で「法人化前旧給与表2-4 浜松時給1,063円、静岡時給1,095円」という格差が存在する。その差は地域調整手当と同じく3%(地域手当浜松0%、静岡3%)である。このような地域間格差に合理的根拠が認められない以上、早急に是正し、一律静岡並みの時給を実現すべきである。
  3. 法人化前に採用された非常勤職員は定年においても不当に差別されている。非常勤雇用教職員就業規則は、2011年改正でパート技術職員、パート教務職員、パート事務職員等の雇用年齢の上限を65歳に引き上げた。しかし、その附則で「平成16年4月1日から引き続き雇用されているパート技術職員、パート教務職員及びパート事務職員」(法人化前に採用されたパート職員)を適用除外とし、従前と同じ「満60歳」に据え置いた。そのため、当該非常勤職員が60歳「定年」後に「再雇用」され、従前と同様の業務を継続する場合、給与水準は大幅に切り下げられる。65歳「定年」の場合と比較すれば、著しい経済的不利益を蒙るのは明らかである。単に採用年次が異なるというだけで、かかる不合理を正当化することはできない。ただちに是正すべきである。
  4. 法人化後に採用された非常勤職員の場合、雇用契約の更新毎に昇給が行われるが、時間給の水準自体があまりに低く抑えられている。静岡大学は、増大する業務量のかなりの部分をこれら非常勤職員に担わせておきながら、給与など待遇面での改善努力を怠っているといわざるをえない。早急に時間給を引き上げることを要求する。
区分 事務・技術 労務 医療 教務 技能
一般 要資格
採用時 895 980 885 1,180 1,130 930
更新1回目 910 1,010 895 1,210 1,160 960
更新2回目 940 1,040 910 1,240 1,190 990

(10)新規採用者への静岡・浜松間新幹線通勤代の支給を要求する。

  1. 2015年の団体交渉の結果、大学の職務命令により、たとえば静岡・浜松間の通勤を余儀なくされた教職員については新幹線通勤代を支給することが認められた。しかし、新規採用者については、その適用が見送られた。すなわち、たとえば新規採用者がたまたま静岡市内在住で、浜松勤務の辞令を受けたものの、家族等の諸事情で浜松に転居することができないという場合、それは「自己都合」によるものとして新幹線通勤代を支給されない(そのため、自己負担を避けるため在来線を使用せざるを得ない)。この点に関し、教職員給与規程第19条第4項は、「転勤等により通勤の事情に変更」を生じた場合、「別に定める基準」に照らし、新幹線通勤が「通勤事情の改善に相当程度資する」と認められるときは、新幹線通勤代を支給すると規定する。この文言を読む限り、採用後の通勤事情の変更だけを念頭に置いていることから、新規採用者への適用を予定していないように読める。しかし、それは給与規程の文言上の不備というべきで、新規採用者について第19条第4項の適用を排除する合理的理由は何ら見出されない。①(さきほどの例でいえば)浜松勤務の辞令を交付したのは大学側の都合であり、転勤の場合と同様に、静岡居住は自己都合にあたらない。②第19条第4項の趣旨は、新幹線通勤によって教職員の「通勤事情の改善に相当程度資する」ことになれば新幹線通勤代を支給するというものである。この趣旨に照らせば、通勤事情を相当程度改善すると認められれば、新規採用者についても当然に新幹線通勤代を支給すべきである。静岡・浜松間の人事異動が頻繁に行われている現在、新規採用者にのみかかる不利益を強いる合理的理由は存在しないだろう。
  2. 上記新規採用者の不利益は通勤代にとどまらない。出張旅費は、勤務地(浜松)からの出発とされるため、出張先によっては宿泊費や新幹線代を自己負担せざるをえないケースが出てくる。この点についても、改善を強く要求する。

その他の取り組み

◇厚生関係

(1)無農薬新茶販売の斡旋を行なう。

(2)組合員の交流会を企画する。

(3)教職員共済生協(「教職員共済」)、全労済加入と労金利用への取り組み

教職員共済生協の「総合共済」は普通の火災・災害、休業、介護、退職等の保障に加えて「教職員賠償」、つまり教職員の職務中に生じた様々な損害を賠償する保険を提供している。近年、教育遂行業務(入試業務、海外への学生引率、相談業務等々)において、大学執行部は末端の教職員に責任の全てを負わせようとする姿勢を取っている。このような執行部の姿勢に対して自己防衛策としてこの保険は有効である。保険には損害賠償金、訴訟対応費用(弁護士費用)、被害者対応費用等もカバーしたものになっている。組合では共済への加入が組合員の利益となると判断し、昨年度に引き続き、加入取り組みを強化する。
また全労済についても、地域に密着し、対応の早い自動車共済、火災共済を中心に加入の取り組みをすすめる。労金についても、組合員の福利厚生の大きな柱として、組合員の利益になるような情報を提供し、利用の取り組みをすすめる。加入者・利用者が増えることにより、利用配当金や事務手数料も増えることになり、結果的には組合員に還元されることになる。

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